「パンチラ」とは
パンチラとは女性の下着の一部がちらりと見えてしまう現象のことをいう。パンティー・チラリズムの略語と思われる。パンチラを誘発する要因としては、風、無理な体勢、女性の不注意、スカートめくり、犬、などがある。 あくまでも、一部分あるいは一瞬という限定的な露出のことを意味し、パンティーのすべてが露出したり、人為的な場合などで長時間にわたり露出が継続している場合は、パンモロといって区別される。
近代パンチラの歴史
「パンチラ」の概念や現象自体は古来よりあると思われるが、近代では、1955年のマリリン・モンローの出演映画「七年目の浮気」で、地下鉄の排気口からの風でマリリンの白いスカートが大きくまくれるシーンがあって人々の印象に残り、日本では1969年にモデル・小川ローザが出演した丸善石油(現在のコスモ石油)のCMでのミニスカートがめくれる演出と「Oh!モーレツ」というキャッチコピーが流行語となった。 このおなじ時期、永井豪の漫画「ハレンチ学園」の描写でスカートめくりがクローズアップされたこともあり、1970年代には「パンチラ」という言葉が登場していたものとみられる。 その後、紳士たちの鋭い観察眼によって、数々のパンチラ現象が見いだされ、好まれるシチュエーションなどが出現していく。 アイドルのハプニングパンチラや、ニュース番組で座って原稿を読む女子アナウンサーの脚の奥など、多様化が進んでいった。 とりわけ、1990年代半ばごろより女子高校生が制服のスカートをミニにして着こなすことがスタンダードとなったこと、インターネットの普及で様々なハプニング画像や盗撮映像が簡単に広まるようになったこともあり、パンチラという現象は非常に身近なものとなったのである。
日本人とチラリズム
英語においては、「パンチラ」という表現は存在しない。世界的に見ても、パンチラという現象を簡潔に表す表現はあるのは日本語くらいしかないと言われている。これは、われわれ日本民族がチラリズムとの親和性が極めて高いという伝統があるからだということが最近の研究で提唱されている。 日本人の美意識として、分かりやすい美や直接的な表現が好きではないという傾向がある。 明確な色彩をもつ真っ赤なバラの花より、淡い色の花びらで、1週間ほどで散ってしまう桜の花が好まれているということにも表れているが、面的ではない秘められた美しさ、花でいうと咲く寸前だったり散りゆく過程の中に美を見出す。 また、和歌や俳句という日本古来の詩では、わずか17文字(短歌は31文字)のなかで表現するという制限がある。このため、「書いていないこと」「その場ではダイレクトに見えないこと」に対して想像力を働かせるという習性が身についているのである。 このため、たとえ目の前にナイスバディの欧米系女性がパンツをおっぴろげて挑発しているのを見たとしても、「会社の後輩OLが落とした書類を拾おうとかがんだ時に、スカートの隙間から純白のパンティが少しのぞけた!」という状況の方に興奮を覚え、軍配を上げる人が多いのは、それが要因であろう。 『古事記』の日本神話の中で、天岩戸の中にこもった天照大神(アマテラスオオミカミ)が、アメノウズメの踊りを、閉じた岩戸のスキマから覗き見し、そのすきに周りの神々が鏡を差し入れて、そこに映った自分の顔を「すばらしい神様が来た。」と勘違いして、扉を開けてしまった、という故事もある。 このように、日本民族のDNAに、“隙間から覗くというとすばらしいものが見える”ということが刷り込まれていることはいえるのだ。